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2013年06月08日
小笠原古謡
先日静岡大学の先生である小西潤子さんの話を聞きにいき、すごく面白かったので紹介したいと思います。
小笠原には古謡と呼ばれるミクロネシアなどから伝わった音楽や踊りがあり、昔から島の人に親しまれています。
その中の一つ「レモン林」についてのお話です。
「レモン林」
1.若い二人は 離れているけれど でね
約束しましょう また逢う日の夜に
2.若い二人は 人目がはずかしい でね
レモン林で かくれて話しましょう
3.レモン林の あまい香りのなかで
キッスをしたのを お月さまが見てた
4.平和になったら 二人は※カボボして でね
新婚旅行は 父島へ行きましょう
(※カボボ 「結婚」という意と言われています)
とても可愛らしい甘い歌だと思いますよね。
恥ずかしいからレモン林でかくれて話しましょうとか、キッスをしたのをお月さまが見てたとか。
私も大好きな歌です。なんて可愛い歌だろう。島ののんびりした感じがでてるなぁと。
ところがどっこいです。
小西先生の研究によるとこの歌はポンペイ島キチ村のマルコさんという方が作った歌で、マルコさんは日本人の巡査さんと結婚の約束をしていたのに、その方が日本に行ったきり帰ってこず…。そこでマルコさんはその巡査さんとの日々を歌にして、そこらじゅうに行き、(訪れた別の島でもひろめた可能性ありとのこと)歌いまくったとのこと。
「レモン林で話したわよね?キスしたでしょ、お月さまは見てたわよ。結婚の約束してたじゃない。新婚旅行も行こうって言ってたじゃない?」
これは恨み歌…。
なんだか悲しいかな、と一瞬思うかもしれませんが、深みがあって興味深いものに感じてきませんか。
そうゆう強い想いがあったからこそ、生まれるべくして生まれた歌なのだなぁと感じました。
私はますますこの歌が好きになったなぁ。
もう一つは「夜明け前」です。これは父島の小学生はだれもが踊れる「南洋踊り」の中の日本語歌詞の歌です。
「夜明け前」
夜明け前に あなたの夢見て 起きるとみたら 大変疲れた
もし出来るなら 小鳥になって あなたのもとへ 時々飛んで行く
私の心は あなたのために 大変痩せた 死ぬかもしれません
私たちは子供のころ歌詞の意味をあまり考えずにカラフルな衣装を着て、ダラダラと踊るのです。
日本語が曖昧なミクロネシアの人が作った歌なのであべこべな日本語で、考えてもちゃんとは理解できない内容だと思います。
とにかく恋する人が遠くにいてその人のことを考えると大変疲れるし、大変痩せるし、死ぬかもしれない…という具合でしょうか。
さあこの歌は日本語混じり現地語まじりでパラオでも歌われているそうで、小西先生の翻訳歌詞が以下のものです。
1.あなたを思い出すと体がだるくなった 私の心の傷で死ぬかもしれません。
あなたが身分の高い子どもとわかっていましたが あなたはわたしのことをよくも忘れましたね
2.あなたが幸福になって もしかしたらわたしはあてのない世の中でブラブラする
わたしが最初に会ったときには 最後までいくと思っていました
一生暮らすと安心していたが 知らずに別れた
それでわたしがどんな力で元通りに返すことができるか
とうとう別れになりました
さようならさようなら おひまなときに会いましょう
これもまたうらみがつまった別れ歌でしょうか。
この内容を小学生が踊っていたのですね。
なんかそれもまた面白くてすきだなぁ。
小西先生、ありがとうございました。
Posted by プッタ at 21:07│Comments(0)
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